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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)2278号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人岡崎一夫の上告趣意第一点について。

所論は違憲を主張するけれども、その実質は訴因変更の適否に関する訴訟法違反の主張を出ないものであって、上告適法の理由とすることはできない。(原判決が本件起訴状並びに追起訴状に記載されたところと訴因罰条予備的追加申請書に記載されたところとは、その基本的事実関係において同一性を失わないと判断して第一審の訴訟手続を是認したのは正当であって、所論のような違法はない。)

同第二点について。

違憲を主張するけれども、その実質は単なる法令違反の主張であって上告適法の理由とならない。(原判決が一審における訴因変更の後において、被告人の防御権の行使に遺漏のあったと認められるような跡もないと判示した点について所論のような違法ありとすることはできない。)

同第三点は事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)

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